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2017-11-12(Sun)

“重度脳性まひ”“重症心身障害”と向き合うには…

娘が生後6か月のとき、重度の脳性まひと診断がついてから、ようやく娘の病状がわかって幾分スッキリした気持ちになったものの、やはり、“脳に障害がある”という事実は重く受け止めなければならないものでした。




また病院の方から、“脳性麻痺とはこういうものである”“この場所に損傷がある場合はこんなケースが多く、予後はこんな感じである”……というような説明があるのかと期待していたのですが、そういったものは決してなく……




たまたま私の娘が、“脳画像に異常がうつらないタイプの例が少ない脳性まひ”であったからなのか…“脳性まひの症状が説明できようもない程あまりにも千差万別”であるからなのか…




致し方ないことなのかもしれませんが、そういった中、「目が見えないだろう」「口からは一生食べられないだろう」という、ただただ厳しい告知だけがそこに残り、心が暗く沈んでしまったのも事実です。




救いになる何かはないのかと、ネットで“脳性まひ”について検索すると、膨大な情報が出てきて、どこからなにを汲みとっていけばいいのか全く分からない状態…。



そんなわけで、なにか1冊本を探して、“脳性まひ”について調べてみよう…と、娘が7か月過ぎた頃に、たまたま購入したのが下記の本でした。



脳性まひ精神遅滞の予防と家庭療育1112

↑「脳性まひ・精神遅延の予防と家庭療育」穐山富太郎著・医歯薬出版株式会社
定価2,000円なのですが、2001年出版と、やや年数が経っているからか、ネットにて数百円で購入することができました。








この本は、長崎県で脳性まひをはじめとする障害児の療育に広く携わってきた先生が執筆されたもので、医療者に対してだけでなく、障害のある子供の家族に向けて書かれています。




そのためか(こういう医療系の書籍を読むのが苦手な私であっても)比較的読みやすく感じました。




“脳性まひの原因にはどんなものがあるか”…その内訳であったり、“脳性まひのタイプにはどんなものがあってそれぞれどういう特徴なのか“……であったり……ネットで私が上手く拾えなかった情報が、集約されていました。




また…

●脳性まひの原因は実に様々である。

●障害が重度であればあるほど、二次障害というものが生涯にわたり付いて回る。社会参加がある人ほど二次障害の進行は遅い。

●施設生活者よりも在宅生活者の方が呼吸機能の低下などがおこりにくい。

●施設入所した重度脳性まひ児の死亡率の統計をみると、肺炎(48.6%)が圧倒的に多く、次に心不全(27.6%)である。


……などなど、病院では決して知ることのできなかった厳しい事実も、色々と伺い知ることになりました。







最近になってこの本を改めて手に取る機会があり、以前読んだときと比べて、思い直すことも沢山ありました。





その1つには、療育に何を期待するか、ということです。



障害や病気と闘う様々なお子さんの中には、なかなか療育へ取り組むこともままならない状況に置かれている方たちがいるのも事実で、そんな中、脳性まひについては、「リハビリが有効である」という意識が、私にも多少なりともありました。






この本の中にも…


「脳には驚くべき柔軟さがあって、大きな部分がごっそり脱落しても残った部分が新しい機能を獲得するという性質(可塑性)があります。」


「いったん破壊された脳細胞は生き返ることはないが、その同じ働きはまわりの迂回路をつくって取り戻すことができ、未発達の赤ん坊ほど期待がもてる。」


「子どもには未知の可能性が秘められています。この可能性を信じてやってください」


「訓練の方法は教えますが、実践がお母さんが家庭で行うものです。訓練の日に病院でやるだけでは駄目です。効果はゆっくりとしか出てきませんが、辛抱強く続けて下さい。」





…といった数々の言葉があり、当時の私はたくさん勇気をもらいました。


我が子の成長を、そう簡単にあきらめてたまるかと。





さらに本の中には、



●2歳近くまで寝返りができなかった重度の脳性まひ児がその後普通小学校に行き、肢体不自由ではあるものの、その後就労されているというケース


●19歳まで寝たきりで「はい」「いいえ」以外一切意思疎通のなかった児が、整形外科の手術をきっかけにパソコン学習ができるようになり、飛躍的に成長したケース



…なども挙げられています。




こういうごく一部の、おそらく稀有な例に希望をもらいつつも、自分にとって耳当たりのよいところだけを特に残して、「脳性まひの我が子には訓練あるべし」という思い込みのようなものも、どこかで持ってしまっていたかもしれないな…と読み返していて思いました。










療育について様々な視点で書かれている本ですが、“重症心身障害”についても、その理解や予後について、いくらか記述がありました。


「海外から来た療法士さんに重症心身障害児のセラピーを依頼したところ、hopelessベビーだと、一旦断られた…」という1文をみたときには、ショックな気持ちになったのを覚えています。



重度の障害はhopelessなのか、と。




「重症心身障害児に対して過度な療育効果を期待させてはならない。」
「しかし早期療育は重要である。」





なんともいえない……この 、 “希望を捨ててもいけないが、期待をしてもいけない”というのが、重症心身障害児の親に求められる療育への姿勢なのだとしたら、なんと厳しいのだろう……
そんな思いも湧き上がってきます。








そして、こうした思いは、私が日常、娘と接する中においても感じるジレンマの1つで、天使と悪魔ではないけれど(笑)頭の中で、別々の2人の声ともいえるようなものが、論争を繰り広げる場面が度々ありました。



1人は、「子供のできること必死に増やそうとして、何やってるの。無理なこともあるんだから、なんでそのままを受け入れてあげないの。」といい、もう1人は、「出来ないと決めつけることこそ、差別だよ。結果が出なくてもゆっくり頑張るんだよ。」といい、なんとも不毛な争いを繰り広げる(笑)





もう最近は、「しんどそうなときは休むし、頑張れそうなときは頑張る。どっちも正しいと思うし、どっちがいいのかは知らん!」と開き直りつつもあるのですが、重度の障害を持った子供の療育に、母親が・家族が、どうやって取り組んでいくのかということは、なんだかとても難しい課題のようにも思ってしまいます。





何よりも生命維持が真っ先の目標となり、それですら一寸先は闇…何かの拍子にさらなる重篤化を招くかもという不安にさらされ、心労の尽きない育児…。



そして、たとえ一生懸命療育に取り組んでも何の結果も得られないこともあれば、何の取り組みをせずとも運良く子供が飛躍的に成長する、という場合もあるのだろうと思うと、なんとも不条理な世界だよな、などと思ってしまうこともあります。







ただ、この「脳性まひ・精神遅滞の予防と家庭療育」では、最終的に、社会的なかかわりについて述べられており、



●療育の取り組みは家族が主体になるが、母親を孤立させてはならない

●訪問をはじめチームによるアプローチが必要で、家庭療育はゆとりをもって楽しい育児ができるようになることが大切である



……とも言及されています。




このあたりは以前読んだときにはピンと来なかったところもあったのですが、今になって読むと、ストンと胸におちてきました。



私たち家族も、在宅生活に移行していった中で、看護・リハビリ・診療のサービスなどから得られた支援に昨年からずっと助けられてきました。


心身ともに引きこもりがちだったのが、まわりのサポートを受ける中で、少しずつ、外との交流という方向に意識が向いてきたように思います。



当たり前のことだけれど、1人で抱え込んでいてはダメで、人との交流は、子どもだけでなく、親の自分にとってもどれだけ大事なことなのか…ゆっくりですが、考えが変わってきたところだと思っています。








***

そんな私ですが、子どもの重度の障害をありのまま受けとめるというのには、まだまだ長い時間がかかりそうですし、普通の子どもとは異なり簡単に意思疎通がとれない娘と接する中で、「私は娘のことを理解できているのだろうか?」と迷うこともまだまだ沢山あります。





けれど…これは、以前参加した障害に関する公開講座で伺ったお話ですが、「どんな重度の障害の人にも意思があることを忘れてはいけない。」ということが強調されていました。



どんな重い障害のある人でも意思がある、選ぶ力があると信じることが大切である、と。





この考え方は、この本の中で、私が最初に勇気をもらった言葉の数々にも通じるものがありました。



「脳性まひ者の能力は、障害が重度であればあるほど非常に低く評価されがちである。」


「両親を含めた健常者側の手前勝手な評価から、あるいは、障害者を社会の落伍者とする社会通念からか、重度障害者が本当にそのようなことができるのですかと、彼らの能力を疑問視する声がしばしば聞かれる。」


「チャンスを与えてみなければ、重度障害者の真価を評価することは到底できない。重度障害者からは本当に色々なことを教えられる。」






障害が重度でも、たとえ療育が期待とは異なる結果になったとしても、娘には色々なチャンスを与えたい。


この気持ちは、親としてずっとずっと持っておきたいものだと改めて思いました。








今回久々に読みかえしたこの、「脳性まひ・精神遅滞の予防と家庭療育」は、家庭療育についてのみならず、他にも、学校教育のこと、障害の告知のこと、障害の原因のこと……様々な分野で脳性まひについて書かれていて、色々と興味深い本だと思いました。


私が娘の障害と向き合うきっかけをくれた一冊だったのではないかと思っていますし、何かに迷った時に、また時々ゆっくり読み返したいな、と思います。



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原因不明の脳性麻痺の娘・あおいについて綴るブログです。喉頭気管分離オペ・胃ろうオペを受けています。

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