2017-06-03(Sat)

私と、私の母の関係をみつめなおす(後編)

(前編の続きです。)


昨年の11月……
以前、心療内科デビューに一度失敗していた私は、自分の悩みを相談するカウンセラー探しに慎重になりました。


●少し遠方でもいいから、“家族関係の悩み”を専門にみてこられた人に話をしたい
●相談相手はできれば年上の女性の方がいい
●料金体系は明確に示されたところがいい



利用者のレビューなどもネットで探しながら、よさそうだというカウンセリングの場がどうにか見つけられました。

土曜日の午前……私は夫に3時間ほど、娘をみてもらうことにし、電車で40分ほど揺られて、カウンセラーに会うことになりました。
(夫の協力もあってこのカウンセリングを受けられたわけですが、夫は、私が娘のことで悩んで受けていたのだと思っていました。)


カウンセラーは、私の願いどおり、年上の女性の方でした。


私がカウンセリングなるもので最も恐れていたこと…それは、おいしいクッキーを焼いたステラおばさんのような優しい顔をした人から、「あなたはなーんにも悪くないわ。ぜーんぶあなたの親が悪いのよ。」などと、自己を全て肯定されることでした。

このとき、私は“癒し”を求めていたわけではなく、自分が悪いのかどうか…“審判”を求めていたのです。



私は、お会いしたカウンセラーの先生の第一印象をいたく気に入りました。優し気ではあるものの(事実、優しい先生だったのですが)、自分にも他人にも厳しそうなオーラが満ち溢れているように感じられたのです。




まるで学校の面談室…のような雰囲気の部屋に通されて、ソファに腰かけると、私は自分の悩みを少しずつ、この先生に話しはじめました。

娘が重度の障害を持って生まれたこと、手伝いにきてくれた母と喧嘩したこと、父とは長年話していないこと、今度はその父が病気になったこと…


出かける前の私といえば、“思いっきり母の愚痴を他人にいってみよう”などと意気揚々としていたにもかかわらず、いざ先生を目の前にすると、母のことを悪くいう言葉が、不思議となかなか口から出てきませんでした。


話をききながら先生は、

「父親と上手く話せないといった悩みでここに来られる人が結構いるが、紐解いていくと、結局母親との関係に問題があった、というケースは多い。それくらい母親とは子供にとって大きな存在である。」

というように仰り、その言葉がとても印象にのこりました。

また「あなたのお父さんは物凄く感情表出が苦手なのかもしれないが、娘のあなたに一切情がないわけではないと思う。」とも述べられました。


結局、この1回目のカウンセリング(当初1回だけ通うつもりが結果4回も通うことになりました。)では、両親や障害のある娘のことについて、おおまかな情報を話すに留まってしまったのですが、カウンセリングの終わりに、先生はこう仰いました。


「ご自分で気付かれているかわからないが、あなたは、〇〇すべきではないか、という言葉を多用している。」

「考え方が、自分がなにをしたいか、ではなく、〇〇すべき、という“べき思考”に陥ってしまっている。」


私は自分ではそんなつもりはなかったのに……とただただ驚いてしまいました。

でも確かに、父が病気だときいたときにも、私は、“自分がどうしたいか”……“心配だから父の見舞いをしたい”というよりも、“一人娘なのだから自分が当然なにかすべきではないのか”などという思いの下、悩んでいたのではないか…ということに気付かされました。

先生は、「もっと自分がなにをしたいか、明確な気持ちを持った方がよい。」とアドバイスくださいました。

また、
「今もっとも大事なのは、あなたの家族(私と夫と娘)が幸せであるかどうかだと思う。あなたは娘さんのことで、今大変な状況なのだから、自分の家族を一番大事にするとよいのではないか。」

というように仰ってくださいました。



そのカウンセリングを受けてから……私は、自分が両親とどう向き合いたいのか、もし父と過ごせる時間が僅かだとしてなにをしたいのか……もう一度考えることにしました。


私が、まず自分の正直な気持ちとして認めたのは、私が両親(特に母)に今になって自分の子供時代について怒りと悲しみを覚えていること……その思いを両親に伝えたい……ということでした。


私はこれまでに読んだ親子関係の書籍をもう一度読み直すなどして、世におられる、両親との付き合いで悩んだ方々(私と比較にならないような深刻な悩みの方も沢山おられましたが)どのような行動をとられてきたのか、参考にしてみることにし、その中から、“親に手紙を書いて気持ちを伝える”というアプローチにチャレンジしてみることにしたのです。



(ちょうどこの頃、娘のあおいは抗てんかん薬の治療中で、その副作用なのか、一時的に昼寝の時間がすごく長くなってしまい、私に手紙を書く作業の時間を与えてくれました。)


電話などで話すよりも、手紙の方が冷静に自分の気持ちを色々伝えられるかもしれない……そして手紙であれば、長らく話していない父とも、言葉を交わせるかもしれない…と思いました。


そして、私は手紙を書く行為の中で、まず土台として、自分の子供時代から今までを振り返り、嫌だったこと、辛かったこと…反対に嬉しかったこと、感謝していることなど、エピソードを書き綴っていき、伝えたいことをまとめていきました。



宛名など以外はパソコンで打つことになり、大き目のフォントで読みやすいようなるべく工夫しながらも、結果的に、母宛てに書き綴った手紙は、かなりの長文になってしまいました。


母にはまず、育ててもらって感謝していること、あおいのことで助けてくれて嬉しかったこと、今も私が母を大事に思っていることを伝えました。その上で、


●母と私の関係で問題があったと思うこと(愚痴を延々ときいていたこと、過干渉で私がそれに応えられないと存在を否定されるようなことがあったこと、母が異様に他人の目を気にして私もそうしなければならなかったこと等)

●私が今後の母との関係にのぞむこと(母の親友をやめたい、また今の私が母の愚痴をきくのは危険だと思うので今後会うときにはできれば2人きりは避けたい、失礼ながらしばらく疎遠にした方がお互いにとってよいと思っている等)


……を綴っていきました。



手紙を書くと、不思議に気持ちがスッキリとしてきました。

手紙は母宛てになったものの、父に伝えたいことも意識して書いたので、両親にこの手紙を読んでもらいたい……私は心からそう思いました。


ここで、私はもう一度、カウンセラーの先生にお会いすることにしました。

先生に事前にお電話で、親に手紙を書いたことをお伝えし、それを両親に渡す前に、先生に読んでもらってアドバイスをいただけないか…とお願いしてみたのです。


先生は了承してくださり、その上で、“手紙で思いを伝えることも、手紙の内容も良いが、お父さんに渡すのはどうかと思う”“もしお父さんに渡すのであれば、お父さん宛てに1枚手紙の内容に関するワーニングや、健康を気遣う言葉をかけた方がよいと思う”……とアドバイスくださいました。



確かに、手紙の中には、一部、母が私にいった父の悪口のようなものも載せられてあったので、闘病中の父が読むのにはエネルギーがいるかもしれない、と思いました。


けれども、たとえ父にこれ以上ないくらい嫌われたとしても、一生このままなんの会話もなく、お互いなにを考えているか分からない奴で終わってしまうよりは、ずっとマシだ、と、私は父宛てに別に数枚の手紙をつけさせてもらうことにし、“母への手紙”を、父にも読んでもらえないか、お願いしてみることにしました。



手紙を出す前に、まずは送ることを2人に了承してもらうため…私は実家に電話をかけました。母が電話口にでて、私はまず母に手紙のことを説明し、それから父に代わってもらうようお願いしました。


はじめての父との電話での会話……それもまともに話をするのが10何年ぶりという有様でした。


実家に電話をかけるとき、私は全身ブルブル震えていたのですが、電話口の父は、物凄く元気そうで、かつてなく明るいような雰囲気でした。


私が父に病状を尋ねると、「かなり体調がよくなった。」というように言いました。

父は父であおいの病状をきき、私がそれに答え、そのあと父はなぜか大河ドラマの話を楽しそうにはじめました。予想外に父が元気そうだったことに私は驚いてしまいました。


私は、「今後家族になにかったときのために父の携帯番号を教えてほしい。」と尋ね、(今までそれすら知らなかったのです)また、これから父母宛てに手紙を出す、手紙は大部分母宛ての内容だが、父にもそれを読んでほしい、とお願いをしました。


父はそれを了承してくれました。

(父の病状について……このあと分かったことですが、父は本当に末期の食道がんで、肺と肝臓に転移していて余命数ヶ月だったそうですが、抗がん剤がピッタリあい、お酒を辞めて食事に気を付けると、一気に転移していたがんがなくなり、快方に向かったそうです。もちろん経過を今後も慎重にみなければならないそうで、楽観的にばかり捉えられませんが、父が快方に向かったことに、とても感謝しています。)




こうして手紙を出したのが去年の年末……


年明けには、母から返事がきました。

母は、今後の私と母との関係について了承してくれながらも、手紙に綴った内容については、当然ながら不満も感じたようで、「私はこれまで一生懸命あなたを育ててきたのに。」と母の思いが綴られていました。


父からは一切の返事がありませんでした。
その後も、私の連絡先を添えつつ、療養に必要なアイテムを贈ってみたり、色々してみましたが、なんの音沙汰もありません。



体調がまた悪化したのか心配にもなりましたが、その後、父が旅行に行ったという話も親戚伝いにきき、安心したものの、私に感じたことが、怒りであれ、失望であれ、母を通してでしか私とコミュニケーションをとらないという姿勢が、今の父の答えであり、私もそれを尊重しようと思いました。


“手紙を出して得られたもの”……それは、私個人の自己満足に留まるところが大きかったかもしれませんが、それでも、生まれて初めて、両親に自分の気持ちを率直に伝えられたことは、私の気持ちをなぜか明るくさせてくれたのです。



その後……私は、親子関係に問題を感じた人が自身の精神状態を改善するためにとったという、他のアプローチ……
ということにも、チャレンジしてみることにしました。


私は、自分の夫にも、母に書いた手紙の一部を読んでもらい、これまでに悩んでいたことなどを正直に、少しずつ、話してみました。

自分の母が、夫の悪口まで言っていたことを夫本人に伝えるのには、とても申し訳ない気持ちでいっぱいになりましたが、夫は怒りもせずにきいてくれ、ただ純粋な驚きをもって、それに応じてくれました。


また、私は、自分の伯母(東京にいる母の実姉)に連絡をとり、私が(娘のことで母が下宿させてもらっていたことで)東京にいる間にお世話になったお礼をのべつつ、母とのことで相談したいとお願いし、会っていただくことにしました。

伯母は伯母ならではの目線で、私と母の今後の関係性について、色々とアドバイスをくれました。


「妹は確かに妬みの強い人間で、疎遠にしたくなる人間だと思う。私も7年くらい一切疎遠にしていた時期があった。」

「でも私には孫や娘になかなか会えない妹を可哀そうに思う気持ちもある。」

「家族だから、そのうち時間がたてば、また普通に会えるようになるかもしれない。」



そして、「あなたがお母さんをもっと前に嫌いになっていられれば楽だったのに。あなたはお母さんが大好きだったのね。」と言葉をかけてくれました。

本当にそのとおりだと思いました。


私が、どこかで母との関係に問題があると思いつつも、その思いをひた隠しにしていたのは、私自身の中に、母に甘えたいという依存心があり、“母が認めてくれれば何事もいいのだ”と、自分で考えることを放棄してきたからのように思えました。



母親というものも未熟で、決して完璧な存在ではない……そのことに、私は自分が親になるまでなかなか気付きませんでした。


そして、最後に、カウンセラーの先生にも、もう一度お会いすることになり、力強いアドバイスをいただくことになりました。


「自分の親が嫌だといってここに来る人がたくさんいる。けれどその中には、自分が嫌だと思っている親とまったく同じ価値観になってしまっている人もいる。でも、あなたはそうじゃなかった。今後なにかに迷ったときも、あなたとお母さんは全く別の人間であることを、強く意識して下さい。」




人はそう簡単に変われるものでもなく、私の中には、今も色濃く、「~べき思考」がのこっているように思いますし、自分の本当の気持ちを見失っているように感じるときもあります。


ついつい、人に悪く思われることを恐れて、まわりをみてしまうようなときも沢山あります。



けれど、母であれ、誰であれ、自分と全く同じ考えの人間などいない。誰かに無理にあわせる必要もない。人と比較することはそれだけ馬鹿らしいことなのだ……と気付くと、(大変ながらも)今の生活に幸せを感じられるようになってきました。




両親とは、私の気持ちも、娘の状況も、もう少し落ち着くことができたら、また連絡をとってみようと思っています。

また、これまで取り組む機会のなかった親戚付き合い……ずっと母からきいた言葉からの偏見の目でしかみてこなかった父方の親戚(祖母が亡くなっていることが残念でなりませんが)とも、話をしてみたいと思うようになり、自分から葉書などで便りをだしたり、自分自身で関係をほんの少しずつでいいから構築できないかと、トライしてみることにもしてみました。


これまでの人生、後悔していることもあるけれど、今もある自分のつながりは、とてもとても大事なもので、誰とも比較せず、自分で自分の人生を楽しんでいきたい……ゆっくり成長する娘とともに、私自身も私ならではのぺースで成長していけたらと思っています。



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育児にあまり関係ない長文をダラダラ吐き出してしまいましたが、また娘との記録も書いていきたいと思います。


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原因不明の脳性麻痺の娘・あおいについて綴るブログです。喉頭気管分離オペ・胃ろうオペを受けています。

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