2017-10-11(Wed)

障害児の母の思い&後見制度のこと

先日、私の住んでいる市内で、障害に関する公開講座がありました。


これまで、引きこもらざるを得ないときも多かったのですが、ようやく少しずつ外に目を向けられるようになった気もする今日この頃……娘を少しデイに預けることができたので、参加させてもらいました。


かなり大きな会議室が満員になるほどの参加人数で、親御さんのご年齢は、全体的にかなり高めのように思われました。



そして、講座のテーマは……障害者の地域生活と、成年後見制度というものでした。



正直、後見制度はいわゆる、親なきあとの準備?みたいなテーマのように思えたので、「今聴いてもどうかなのかねえ」
などと思っていたのですが、存外興味深く、講座全体を通してとても勉強になったと感じたので、感想を簡単に残したいと思います。



**********



前半のパートでは、住んでいる市の親の会でずっと活動をされてきて、今は障害者をサポートするお仕事もされているお母さんのお話をお伺いしました。



娘さんは今30代とのこと。病院などでもなかなかお話する機会のない、先輩ママさんです。


「当時は今のようにデイやショートステイのような場所もなかなか無く、お母さんが体調を崩したときは、他のお母さんたちと助け合ってお互いの子供達を見合った」……


……というようなお話も聴いて、一体どれだけ大変だったのだろうと、こちらまで胸を抉られるような気持ちになりました。



お母さんたちの力でデイや事業を立ち上げていったこと、子供の発達を支援してくれるところはあるが親の心をサポートしてくれる場所がなくて苦しかったこと、地域の学校に通わせたかったが中高はそれが叶わなかったこと……


お話の1つ1つが、興味深く、色々と考えさせられるものでした。




中でも1番心に沁みたのは、お母さんが語られた、子供の障害を受け入れることの難しさ。


これを3点に分けてお話されていたのですが、


●障害は治ると考えたい気持ち

●他の障害のある子と比べてしまう気持ち

●人間の価値は利益を生み出すことという価値観から無条件の存在を肯定する価値観への変化の難しさ


という言葉をきいて、まさに自分のこと……と聞きながら不覚にも、涙がこぼれ落ちそうになりました。



私には娘が産まれてからずっと、娘の障害はよくなる、頑張ってなおさないと、というような思いがあり、その思いは娘が3歳になった今も拭いきれていません。



私の行なっていること……毎日の地道なリハビリや療育は決して間違ったものではなく、行為自体はよいことなのに、なぜ心苦しくなることがあるのか。


その答えがこの、“無条件の存在を肯定する価値観”というところにあるように思えました。




リハビリするにも何にも、よくなるという結果(子供からの見返り)を求めている自分がどこかに居て、それに気付いて自己嫌悪に陥ってしまったり…


少しでも健常に近づかなければ、という思いがあったり…。




講演されていたお母さんが、


「優れた人間に価値があるという考えが、どうしても今の日本人に多くある考え方で、人のお世話になることでしか生きていけない子供を受け入れることが難しい」



というように、ご説明されたのですが、本当にその通りだと思いました。



同時に、今これだけ客観的に自分の思いを語られているお母さん……


私にはとても冷静で、地域の障害児療育に尽くされた自分とはかけ離れた、立派ですごいお母さんにみえたのですが、このような方でも長い間悩み抜いたのか、と内心驚いてしまいました。



価値観とは一朝一夕には変わらないもの。けれど毎日の積み重ねによって、少しずつ変わっていけるものなのかもしれない。



今私が娘の育児で悩んでいることも、すぐには解決できなくても、まずは嫌な自分を認める、それだけでもいい。ゆっくりゆっくりと変わっていくものがきっとあるはず。



そんなことを考えさせられたお話でした。





*************



そして後半のお話はガラッと変わって……

司法書士さんによる、「障害者のための成年後見人制度」というテーマでした。




要は、「親がなくなったあと、障害のある子供(といっても成人)の財産管理をどうするんだ?」というお話……。


正直、


「うーん、今はそんなん考える余裕ないわー」
「そんなことより子供がまず無事に大きくなるかの方が心配やわー」




などと思っていましたが、こちらもお伺いすると色々気になってくるテーマではありました。




この手の話の飲み込みが超悪い私なのですが(涙)なんとなく理解できたと思うことを、かなりアバウトですが、ここに残しておきたいと思います。



まず…

●後見人ってなに?

私たち親が、障害のある子をこのまま20歳まで無事に育てられたとして、その親権というモノは子供が20歳になると、消滅するそうです。(そういうものなんですね。)

この終了した親権の代わりに、引き続いて、判断能力のない障害のある人の意思決定を支援するため、財産管理や身辺監護を行うのが後見人だとのこと。

この“支援する人を決める”という後見制度を利用するためには、まず家庭裁判所に申し立てをしなければならないそうです。





●後見人には誰がなるのか?


後見人は、裁判所が選ぶものだそうで、基本よほどの事情がない限り、親族が選ばれるそうですが、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士なと)の人が選ばれることもあるそう。もし、後見人を親族以外の人に頼みたいということになった場合、どんな人が来るのかはわからないそうなのですが、


もし、親の方であらかじめ、「この人にお願いしたい」という人がいれば、その候補者を申し立てることができるそうです。


最近は、この後見人の制度の相談を受け付けている権利擁護センターが各地で設立されていて、そこで後見人候補者の紹介(マッチングサービス)を行なっていることもあるので、そういうのを利用する手もある、とのことでした。




●後見人は何をするの?

後見人の仕事は、基本、本人の財産を預かって、いつまでもよい生活が続けられるよう、収支管理する、ということらしい…です。


その管理については、裁判所に定期的に報告しなければならず、財産を簡単に横取りしたりはできなくなっている模様。

また本人に代わっての医療福祉サービスの手続きもすることができるとのことです。


あまり具体的なビジョンがわきづらいけど、結構メンドくさくて大変そうだなーというのが、私の印象。

しかも本人が亡くなるまでずっと……なので、長い期間の仕事になる可能性も大なんですね。





●後見人制度はタダで利用できるの?

後見人には報酬を支払わなければならないそうです。

その報酬額は、貯金が1000万以下だと月2万円、1000万以上だと月3万円、、などというように財産に応じて比例するらしい。



ここで、講演に参加されていた親御さんから、




●後見人が身内の場合、報酬は発生するのか?


という質問が…。
(鋭い質問に皆さんすごいな、と思った。私なんて最早なにが分からんのかも分からんという状態(笑))

後見人が身内でも報酬申し立てをすることができて、専門職の他人が後見人になった場合と同額の報酬を受け取ることができるらしいです。



お話されていた司法書士さんは、「後見人の仕事は結構大変だから、ご兄弟の方が後見人をする場合でも、報酬を発生させた方が良いと思う。」とアドバイスされていて、こちらもとても印象的なお言葉でした。





そして…

●もし後見人に支払える報酬がゼロ、というような極めて悪い財産状態の場合どうなるのか?

という質問も…。


この場合は、報酬が出なくても支援してくれる後見人を探すことになるが、最初から報酬がないという条件だと受取手がみつかりにくいです、とのこと。

(長い付き合いで途中から報酬なしでもやりますよ、という場合は度々あるらしいのですが)


司法書士さんは、「今後、そういう方にも、最初から報酬が発生するような行政のバックアップが必要かもしれない」とも仰っていました。







また今回お話をされていた司法書士さんは、実際に今、グループホームで生活されている障害者の方の後見人をされているそうなのですが、今後の後見人制度のあり方について、いくつか語られていました。



●障害のあるお子さんの親御さんも、必ず歳をとって、判断力など低下し、そのうち親御さんの方にも支援が必要な状態になって来る。


●今よくみられる課題は、子である障害者に掛かっているお金と、親の方に掛かっているお金の整理。



●地域で連携をとって、世帯自体を支援する、世帯の複数の問題を解決するようなモデルが、今後必要になってくる。
(例えば、親の方が体崩した時にその入院手続きを後見人が行うとかもアリだとか)



●また後見人が障害のある本人を支援しようにも、後見人1人でコミュニケーションをとるのには限界がある。
普段から支援している医療機関などと連携をとって、後見人が相談できるような環境をつくっておきたい。



●後見人に月1回くらいの面談の場を設け、障害者である本人とその親のコミュニケーションの遣り取りから、本人がどうやって意思決定しているのかを、日頃から学ぶに機会を設けておくようにした方が良い



などなど。




この後見人制度の話は、家に帰ってから、夫にもあれこれと話をしてしまいました。こんな制度があるならきっと大丈夫だよね、と……

夫は、
「その講演されてた司法書士さんは、そういう講演をするくらいだから、熱心な方だろうけど、なかなかそんな人ばかりでないと思うよ。」

となかなかシビアな見方。



あと、娘のあおいにもしも兄弟がいたら……という話になって、(いないけど想像するのはタダということで)

夫は、もしいたら兄弟が後見人になって助け合いするといい、という考え。

私は、兄弟がいても、後見人は赤の他人の専門家がいい、という考え



……で、意見が見事に割れてしまいました(笑)




このあたり、障害を持つ子どもの親たちの間で、ときには夫婦でも、意見が異なってくるところなのかもしれないなあ、と思いました。


まだまだ先の話だし、訊いていて分からないことがたくさんのお話だったのですが、伺えてとてもとても貴重な機会だったのかな、と思っています。





***********


今回、2つのテーマのある公開講座に参加して思ったのは、障害児の育児の道のりは恐ろしく長いということ……


日頃色々悩んだりしている私だけど、この先さらなるビッグウェーブも待ってますよ、という壮大な予告を垣間見たような気もしております。



人生何が起こるか分からないから、途中思わぬ雷に打たれることもあるかもしれないけれど、そうならなければ、道は長いんだから、あんまり毎日クヨクヨ悩まずいきたいかも、なんて、逆に思ってしまいました。

(といってても色々悩むんだろうけど…)



地域との繋がりについても色々模索していきたいところですが、なにか集まりや学びの場をみつけることがあったら、また参加できるといいな、と思いました。



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コメント

こんにちは!

ずいぶん久しぶりのコメントになってしまいました。でもいつも読ませてもらっています☆

今回の記事、本当に考えさせられるものがありました。
子どもの障害を受け入れることの難しさ…。
私も自分でモヤモヤした気持ちには自覚があっても、そのモヤモヤが何なのかよく分からないことがあるのですが、まさにその先輩ママさんが語られたことがそのまま当てはまっているような気がします。
娘が6歳になった今ではずいぶん自分の中の価値観も変わり楽になりましたが、価値観の変化にはたくさんの痛みを伴ってきたな…と感じます。

こうやって先輩ママさんが言葉にして語られ、そしてマカロニさんがブログにアップしてくださることで、私をはじめたくさんの方がハッとしたり、気持ちが楽になったりするのでしょうね。
ありがとうございます。

後見人制度については何となくしか知らなかったのでとても参考になりました。

みっちさんへ☆

みっちさん♪ありがとうございます☆

子どもの障害を受け入れることって、シンプルなようでいて、やっぱり簡単なことではないのだな、と思いました。

日々娘と接する中、障害のある子の母になっても、なお残っている自分の偏見のようなものにハッと気付くことが度々あり、そんなときに自己嫌悪に陥ったりもしていたのですが、今回お話を伺って、多くの人の共通する悩みなのかな、と少し気が楽になりました。

焦らず、少しずつ…なんですかね。今の自分の価値観が変わっていければ、子どもの障害うんぬんだけでなく色んなものの見方がもっと明るくなるはず…とも思っています。


就学のことや地域とのかかわりのこと、いつもみっちさんのブログからたくさん学ばせてもらっています。

この先も悩む場面はたくさんありそうですが、私も少しずつ、娘にも、自分にも、横のつながりを持って広げていきたいな、と思います☆


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Author:マカロニ
原因不明の脳性麻痺の娘・あおいについて綴るブログです。喉頭気管分離オペ・胃ろうオペを受けています。

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